こんにちは。
とまり木です。
このページでは、鼠径部の痛みやしこりが気になるときに受診すべき診療科や、考えられる原因について解説します。
※鼠径部の痛みと関連して考えられる股関節痛については「股関節痛に悩む方へ 何科を受診すべきか迷ったときの病院選びチェックリスト」をご覧ください。
結論から言うと、症状のタイプによって外科・婦人科・皮膚科など、受診先が異なるため、自己判断ではなく正しい診療科の選択が重要です。
鼠径部に現れるしこりは、女性に多い病気や命に関わるケースも含まれるため、見逃せないサインのひとつです。
どの症状が何の病気に関係しているのか、どの科に行けばよいのか迷っている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
鼠径部にしこりや痛みがあるときに考えられる主な原因とは?
ここでは、鼠径部のしこりや痛みの代表的な原因について解説します。
特に女性に多くみられる症状や疾患も含めて、見逃してはいけない病気を整理します。
正しい診断と早期の受診につなげるためにも、主な疾患の特徴を押さえておきましょう。
鼠径ヘルニア(脱腸)の特徴と症状
鼠径ヘルニアは、鼠径部の筋膜の隙間から腸や脂肪組織が皮膚の下に飛び出す病気で、俗に「脱腸」とも呼ばれます。
足の付け根がふくらむ・しこりが現れるといった症状が特徴で、立っているときに目立ち、横になるとしぼむことがあります。
初期は痛みがない場合もありますが、進行すると重だるさや引っ張られるような痛みが出ることがあります。
鼠径部リンパ節の腫れやリンパ管炎
リンパ節が腫れることで鼠径部にしこりや痛みが現れることがあります。特に感染症や炎症に伴って腫れることが多く、押すと痛むのが特徴です。
性感染症や皮膚の感染、時には血液のがんや悪性リンパ腫などが原因となるケースもあるため、見過ごさず受診が必要です。
女性の場合、婦人科系の疾患に関連することもあるため注意が必要です。
ヌック管水腫や子宮内膜症など女性特有の疾患
ヌック管水腫は、鼠径部に水がたまってしこりのように感じる疾患で、特に20~40代の女性に多くみられます。
痛みを伴うこともあり、鼠径ヘルニアと誤診されやすい病気です。
また、子宮内膜症が原因で鼠径部に放散痛が出ることもあり、見た目にしこりがない場合でも痛みが続くときには婦人科の受診が必要です。
皮膚の腫瘍や膿瘍などの可能性
皮膚の下にできる良性の脂肪腫やアテローム(粉瘤)、感染性の膿瘍なども鼠径部のしこりの原因になります。
しこりが赤く腫れていたり、熱感を持つ場合は膿がたまっている可能性があり、皮膚科や外科での治療が必要です。
特に高齢者や免疫力の低下している人では注意が必要です。
鼠径部の症状があるとき、何科を受診すればいい?
鼠径部にしこりや痛みが現れた場合、原因によって適切な診療科は異なります。
この記事では、代表的な疾患ごとに対応する診療科を整理し、迷ったときの判断基準を明確にしていきます。
早期の診断と適切な治療を受けるためにも、症状に合った医療機関を選ぶことが重要です。
外科・消化器外科が適しているケース
鼠径ヘルニアなど、手術を前提とした疾患の場合は、外科または消化器外科の受診が推奨されます。
鼠径部がぷっくり膨らみ、押すと戻るようなしこりがある場合は、特に外科的治療が必要な可能性が高いため、専門のクリニックや病院での診断が重要です。
最近では日帰り手術を提供している施設も増えており、治療へのハードルも下がっています。
内科・泌尿器科・婦人科が対応するケース
リンパ節の腫れや性感染症、婦人科系の疾患が原因となる場合は、それぞれ内科・泌尿器科・婦人科の診療が適しています。
押すと痛いしこりや、しこりが複数ある場合、性感染症によるリンパ管炎が疑われることもあります。
女性では子宮や卵巣に関係する病気が原因の場合もあるため、婦人科の受診が安心です。
皮膚科や整形外科に該当する症状とは?
しこりが皮膚のすぐ下にあり、赤みや熱感、膿のような症状を伴っている場合は皮膚科や形成外科が適しています。
また、しこりがなくても歩行時に痛むなど筋肉や関節由来の痛みがあるときは、整形外科の対象となることもあります。
とくにスポーツをしている方や股関節周辺に違和感がある場合は、整形外科の視点も重要です。
鼠径部のしこりや痛みを放置するとどうなる?
鼠径部に違和感やしこりがあっても、痛みが軽かったり自然に治るかもしれないと放置してしまう人も多いですが、これは非常に危険です。
場合によっては命に関わる事態や慢性的な疾患につながることもあります。
ここでは、放置によるリスクを具体的に紹介し、早期の受診の重要性をお伝えします。
ヘルニア嵌頓など命に関わるリスクもある
鼠径ヘルニアを放置してしまうと、「嵌頓(かんとん)」と呼ばれる状態になる恐れがあります。
これは、飛び出した腸などの臓器が戻らなくなり、血流が途絶えて壊死してしまう危険な状態です。
強い腹痛や吐き気、発熱などの症状が現れることもあり、緊急手術が必要になります。
こうした状態を未然に防ぐためにも、しこりや膨らみがある場合は早めの受診が不可欠です。
女性特有の病気は進行に気づきにくい
女性に多いヌック管水腫や子宮内膜症は、初期症状が軽かったり、しこりが目立たないことがあります。
そのため、気づかずに進行してしまうケースも少なくありません。
痛みがあるのにしこりが見えない、周期的に痛むなどの症状がある場合は、婦人科疾患の可能性も視野に入れ、早めに婦人科や内科を受診しましょう。
進行すると治療が複雑になることもあるため、自己判断は避けるべきです。
受診前に確認したい!鼠径部の症状チェックポイント
「病院に行くべきか判断がつかない」「様子を見るべきか不安」と感じる方のために、受診前に確認すべき症状のチェックポイントを紹介します。
自己判断が難しい症状も多いため、特徴を知っておくことで、必要なタイミングでの受診につながります。
押して痛い?動く?消える?症状の特徴別チェック
鼠径部のしこりには、以下のような違いが見られます。これらの特徴によって疑われる病気が異なります。
症状チェックポイント
●押すと痛い → リンパ節の炎症や感染症の可能性
●押しても痛くない、柔らかい → 鼠径ヘルニアの初期症状
●赤く腫れて熱を持つ → 膿瘍や皮膚疾患の可能性
●立つと膨らむが、寝るとへこむ → 鼠径ヘルニアの典型例
●しこりが硬く動かない → 腫瘍やがんの可能性も視野に
このように、症状の性質によって原因が変わるため、気になる症状があれば記録しておくと診察時に役立ちます。
受診タイミングの目安と注意点
基本的に、次のような症状があれば早めの受診を推奨します。
●しこりが2週間以上消えない
●徐々に大きくなっている
●痛みが強くなってきた
●熱がある、赤く腫れている
●女性で、生理に関係して症状が悪化する
特に「しこりがあるけど痛くない」場合でも、重篤な疾患のサインである可能性もあるため、自己判断に頼らず、迷った時点で医療機関に相談しましょう。
鼠径部の痛みやしこりで迷ったらどうする?
鼠径部の違和感があっても、「どの科に行けばいいか分からない」「しこりがあるけど受診するほどなのか悩む」――そんなときに役立つ判断材料や行動のヒントを紹介します。
迷ったまま放置することで症状が悪化することもあるため、安心して行動できるよう、受診の第一歩を支援します。
最初に相談すべきは“かかりつけ医”という選択肢
症状が漠然としていて何科に行けばよいか迷う場合、まずは内科などの「かかりつけ医」に相談するのも有効です。
基本的な診察や検査を行ったうえで、必要に応じて専門の医療機関へ紹介してもらえる体制が整っています。
診療科を誤って遠回りするよりも、まずは身近な医療機関で状況を見てもらうのが安心・確実な方法です。
女性は婦人科系の受診も視野に入れて
鼠径部のしこりや痛みが「生理周期と連動している」「下腹部や太ももにかけての違和感がある」といった場合は、婦人科系の病気が関係している可能性があります。
子宮内膜症やヌック管水腫などは、初期段階では見た目でわからないこともあるため、しこりがなくても婦人科の受診を検討しましょう。
早期に専門医に相談することで、正確な診断と治療が可能になります。
鼠径部の痛み、しこりのQ&A
Q1:鼠径部にしこりがありますが、押しても痛くありません。この場合、病院に行くべき?
A:はい、痛みがなくても鼠径ヘルニアや腫瘍の可能性があります。特に、しこりが押すと引っ込む、横になると消えるなどの特徴がある場合は、外科や消化器外科での診察をおすすめします。
Q2:足の付け根にしこりがあり、押すと痛いです。何科を受診すれば良い?
A:押すと痛みがある場合は、リンパ節の炎症や感染症が疑われます。内科や泌尿器科、女性であれば婦人科の受診が適しています。
Q3:鼠径部のしこりが数日で大きくなった気がします。これは危険なサイン?
A:しこりが急に大きくなったり、痛みや熱を伴う場合は膿瘍や炎症、嵌頓ヘルニアなどの可能性があります。早めに医療機関を受診し、画像検査などで原因を確認しましょう。
Q4:鼠径部に膨らみがあるけど、立っているときだけ目立ちます。これは何?
A:その症状は典型的な鼠径ヘルニアの可能性があります。立ったときに出て、横になると引っ込む特徴があれば、外科または消化器外科を受診してください。
Q5:女性ですが、鼠径部に違和感があり婦人科でも問題ないと言われました。次はどこに行けば?
A:婦人科で問題がない場合は、外科や整形外科、皮膚科の受診を検討してください。症状の部位や経過によって、他の診療科での精査が必要なこともあります。
Q6:鼠径部に複数のしこりがあります。がんの可能性もありますか?
A:可能性はゼロではありません。特にしこりが硬く動かず、数が増える傾向にある場合は、リンパ腫やがんの転移なども視野に入れ、内科や血液内科での精密検査が必要です。
まとめ:鼠径部の痛みやしこりは何科を受診?女性に多い原因も紹介
このページでは鼠径部の痛みやしこりについて解説をしてきました。
これらの症状は、外科で治療が必要なヘルニアから、感染症や婦人科系の病気まで原因が幅広く、放置すると重大なリスクを伴う場合もあります。
症状の特徴に応じた診療科を選ぶことで、早期発見・早期治療が可能になります。
以上、股関節の違和感が気になる方の参考になると嬉しいです。

